この前IEエラーで消えちゃったSS載せます~。
ただ、残してないんで同じとはいかないんですが・・・^^;
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柔らかに揺れる、髪に触れる。
それ自体に温度は存在しないはずなのだが、不思議と暖かく感じる。
「・・・どうかしたんですか?」
髪に触れられて、少し驚いたようにこちらを見上げる、琥珀色の瞳。
澱みのない、澄んだ瞳に、今・・自分だけ写っているという優越感。
思わず、笑みがこぼれる。
「いや、別に~・・・」
気にするなと誤魔化すように笑ってやるが、どこかまだ不思議そうな顔を見せる王崎。
あまり・・・こちらをじっと見ないで欲しいんだがなぁ・・・。
目の前にいる奴は、まぎれもなく男で。俺も、正真正銘の男で。
どちらも同じ性別のはずなのに、ふいに・・・恋に落ちてしまった。
心惹かれたのは、その音色。暖かく柔らかで、そっと心を包み込んでいく優しい音。
「・・・綺麗、だな」
「え?」
「髪の色が、さ・・・」
そっと髪をひと房摘んで、わざと音を立てて口付けを送る。
途端、まろい頬へ仄かに朱が点った。その反応に、口元が緩むを感じる。
髪へ触れた手を流して、色づいた頬へ指を滑らせる。
「・・・可愛いな。おまえさんの、そういうとこ」
「っ!・・・・」
赤みがさらに増す頬を撫でて、顎をこちらへと向けた。
重なり合う、視線。少しの戸惑いを含んだ視線を外させないように、じっと瞳を見つめて。
少しだけ目元を緩めてやれば、相手の身体からも僅かだか緊張が抜けるのを感じる。
「・・・信武」
名前を呼ぶのは、口付ける合図。
その声に、王崎は一瞬困ったような笑みを浮かべたが、すぐに柔らかな笑みに戻して。
此方を見上げていた琥珀色の視線が、そっと瞼の中へ隠される。
空いている手で身体を引き寄せて、唇を重ね合わせた。
伝わってくる柔らかな感触が、心地いい。
最初は音色。次は微笑み。そして、声、指、瞳、体温・・・。
気がつけば、目の前の人間を構成する、そのすべてに惹かれていた。
なにが好きなのだと聞かれても「全部」としか、答えられないほどに。
忘れていた、思い。もう、持つことなど・・・ないと思っていた・・・恋。
したくなくても、してしまうものが恋・・・だとでも言うように。
角度を変えて、何度も唇を触れ合わせる。その度に零れる、甘い吐息。
彼の手はいつのまにか背中へ回されて、しっかりと抱きしめられている。
まるで、――離さないで…――、と伝えるように・・・。
離さないさ。離せるはずが、ないだろう・・・。
おまえという存在がないと、もう動く事ができないんだ。
――逃がさない・・・――
もう、どこへも離さない、逃がしはしない。
この身体の・・・そのすべてを・・・。
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