ごろりとベッドに身体を預け、少し楽しげに人の膝の上で大地が微睡んでいる。
「眠いのなら、きちんとベッドに横になったらどうだ?」
「えぇ~、折角律に膝枕してもらってるのにそれじゃ勿体ないよ。もうちょっとこうさせて?」
そう言いながら太腿へ頬を擦り寄せられた。少し擽ったい。
「これでは俺が動けない」
「動かなくていいよ。もっと俺の傍にいてよ」
「勝手だな」
「勝手だよ。ついでに、律のことになると相当我儘になるよ、俺」
膝の上で、蕩けるように甘い笑みを浮かべながら、大地がこちらを見つめている。
不意に手を伸ばされて、その指が頬に触れた。
顎のラインを確かめるように、優しく指が撫でていく。
「律だけなんだ。こんなにも心を捕えて離さない。もっと俺を見て欲しくて、つい我儘になっちゃう」
見つめる大地の瞳が、愛しげな頬笑みとともに細められる。
その視線と、大地の甘い言葉たちに、クラリと目眩がした。
それまでそこにあったはずの空気すら今は甘く染められ、吸い込む度に胸にじわりと熱が滲んて行く。
あぁ、恋に酔っている…
「ねぇ、律…」
大地の悪戯な指が唇に触れ、口付けを強請られる。
一方的な誘いに、思わずため息が零れた。
「本当に、おまえは勝手だ…」
自分ばかり求めていると勘違いして、求められようと誘惑する。
どうして、相手も同じように思っているとは思わないのだろうか。
大地で無ければ、こんな風に触れ合うことさえ許しはしないのに。
このまま要求に応えるのが少し癪で、唇に触れた指を捕えて、その指に口付けた。
少し驚いた顔を見せる大地に、思わず口元が緩む。
「おまえも勝手なら、俺も勝手にする」
指を奪った手とは違う手で、今度は視界を奪う。
律…と少し不安げに呼ぶ唇に、愛しさを飲み込ませるようにそっと口付けた。
この酔いは、まだ暫く抜けそうにない…。
[2回]
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