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優しげに微笑む顔も、
恥かしそうに頬を染める顔も
時々見せる、拗ねた顔も、
暖かな髪も、透き通った瞳も
甘く囁く、柔らかな声も・・・
そのすべてが、俺のとなりにあって
俺だけを、見つめていてくれる・・・。
この幸福を、なんと呼ぼうか。
柔らかな朝日が、カーテンの隙間から部屋へ零れ落ちていく。
窓の向こうから聞こえる、自動車のエンジン音や人々の声。いつも通りの日常の、なにげない朝の風景。
朝日に照らされた部屋の中。少し大きめのベッドで眠る、ふたりの姿。
サイドテーブルに置かれた携帯電話から、目覚めを知らせるアラーム音。
「・・・んっ・・・」
音に気付いて、眠いっていた王崎の身体が僅かに身じろぐ。
閉じていた瞳を開く前に、突然音が鳴り止み、どこかへ携帯が掘り投げられた。
瞳を開いたときに見えたのは、長い手が携帯電話をどこかへ投げる瞬間だけ。その腕は再びベッドに潜り、自身の腰へと回された。再び暖かな温もりに包まれて、開いた瞳がうとうとと塞ぎそうになる。
ここは金澤がひとり暮らしている木造のアパート。そこへ王崎は週に何度か泊まりにきていた。
二人の関係がただの元生徒と教師ではなく、キチンとした恋愛感情の付き合いを始めて、一ヶ月が経とうとしている。
同性同士の恋愛は、例え気持ちが繋がっていても、それだけでは越えられないもの現実がそこにある。
互いの気持ちはどこまでも互いを思っていたとしても、世間はそれを綺麗なものとしては見てはくれない。
だからこそ、誰にも知られずに過ごす時間をなによりも大切にしてきた。
王崎が親元で暮らしていることや、まだ学生であることを考慮し、ふたりで過ごせる場所はこの部屋の中だけ。多忙の中、時間を見つけてはふたりだけで会い、時間の許す限り寄り添い会って、愛を暖めあった。
今もまた、互いの温もりを確かめ合いながら、同じ夢の中にいる。
(そういえば、今何時だろう・・・?)
ふと、時間が気になって、王崎はまどろみかけた思考を寸前で押しとどめ、瞳を開いた。
眼鏡のない視界は明瞭とはいえないが、見えなくはない。サイドボードに携帯があったことを思い出し、一台は先ほど投げられてしまったが、まだ王崎の携帯がある。
背中越しに身体を二本の長い腕で絡め取られているため、中々身体が思うように動かないが、なんとか自分を抱く金澤を起こさないように、ぐっと腕を伸ばした。あと少しというところで、再び後ろから出てきた金澤の腕が先にその携帯を掴み、遠くへと投げてしまう。
そして、伸ばされていた王崎の腕を絡めとり、ベッドの中へと引き戻す。
「休みんときくらい、時間気にするなよ」
その腕ごと、背中から王崎を抱きなおして、その耳元に掠れ声で金澤が囁いた。
その声に視線だけ後ろに向ければ、目覚めたての金澤と視線が重なる。
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ある朝の風景というのがテーマ?です。
友人曰く甘かったらしい・・・。ゲフン・・・。