空色図鑑 ―子守唄 忍者ブログ

空色図鑑

行き当たりばったりすぎて常に道を迷っている

2024.11│ 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

子守唄

柔らかな歌声が、頭上からゆるり、ゆるりと舞い降りてくる。
穏やかな日差しとともにそっと身体を包んで、心地がいい。

遅くまで酷使された身体は休息を求めていたので、久方に訪れた恋人に甘えることにした。
少し困ったように頬まれたあと、その膝に寝かされ、優しく髪を撫でられる。
子供ではないのだから…と思わないこともないが、その手があまりに心地よくて。
そのまま、この優しい手のひらにあやされることにした。

「…いい歌、だな」

眠りに融けかけた声で虚ろに呟けば、それに気付いて、その甘やかな歌声が止まる。
瞼を開いて見上げれば、こちらを優しげに見守る笑み。

「祖母が教えてくれた子守唄なんです。…もしかして、眠りの邪魔でしたか?」
「いや…」

初めて聞いたはずなのに、どこか懐かしい旋律。
言葉の意味さえわからないはずの、不思議と安らぐ歌。
そのふたつが、甘やかな声と重なりあって、そっと身体を包み込んでいく。

「もっと、歌ってくれないか…」

決して上手いとは言えないその歌が、今は何よりも愛おしい。
その声も、歌も、この身体を包み込んでくれる温もりも、すべて。
このまま眠ることができたなら、優しい夢が見られそうだ。

「…喜んで」

目を閉じて…と、どこか幼子に囁くような声で、手でそっと瞼を覆われる。
再び紡がれ始めた歌と、そっと身体をあやす手のひら。

それは遠く、幼子のころに与えられていた温もりにどこか似ている気がした。
ただ優しく、愛しい、純粋な気持ちで守られていた頃。
どんな不安も、痛みも知らないでいられた頃の記憶。

きっと、今もこの手のひらに守られている。
痛みを感じないように。穏やかな時を過ごせるように。
優しい、優しい、子守唄のように…。

「…ありがと、な」

そっと身体に触れる手に、自身のそれを絡めて。
甘やかな歌声に導かれるように、ゆっくりと眠りへ落ちていく。
今はもう、ひとりではない。


*****************************************
信武ちゃんに子守唄歌ってほしかっただけ(笑)

拍手[0回]

PR
*COMMENT-コメント-
*COMMENT FORM-コメント投稿-
  • この記事へのコメント投稿フォームです。
 
Name:
Title:
Mail:
Url:
Color:
Decoration: Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
Message:
Pass: ※編集時に必要です。
Secret:  ※チェックすると管理者へのみの表示となります。
■応援中








■写メ日記
■管理人
HN:
水城紫苑
HP:
性別:
女性
職業:
ヲタク
趣味:
妄想
自己紹介:
自分の好みが激変しすぎて絶賛迷子中
■カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
■バーコード